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ボーナス格差は心理的安全性を下げチーム力を損なう

チームが力を発揮できる環境を整えるのが重要

成果を出した職員にボーナスを上乗せする制度をつくれば、モチベーションがあがる。

一見当たり前のように聞こえますが本当にそうなのでしょうか?実はこんなことは証明されていないのです。

むしろこのような制度を導入すればチームのパフォーマンスが低下するという研究結果が多数出ているのです。

「グーグル社内の優れたチームに関する調査」があります。

この調査の結論は「成果に真に影響を与えるのは、チームに誰がいるかではなく、チームメンバーがどのように協力し合うか」が最も重要というものでした。

この研究は最高のパフォーマンスを発揮するチームに見受けられる特徴を5つ特定しました。

そのうち最も重要だとされたのがチームにおける心理的安全性です。

成果を上げた職員にボーナスを上積みすることが心理的安全性を高めることになるのでしょうか。

むしろ評価を気にして心理的安全性が低下するのではないでしょうか。

成果を上げたチームについての研究では、やる気を引き出したのは「チャンス、責任、見通し」の3点で、メンバーは「お金のためではないと口をそろえた」そうです。

チームのパフォーマンスを上げるのは、チームとして力を発揮できる環境を整えることです。ボーナスに差をつけることではありません。(参考・引用文献:マイケル・A・ロベルト著 花塚恵訳Unlocking Creativity チームの創造力を解き放つ最高の戦略 東洋経済新聞社 2020年)

公平・平等なボーナス制度でチーム力向上を!

企業成績が急落した一因に成績率?!導入に科学的根拠なし

民間企業の多くがボーナスに成績率を入れています。

では、民間企業は成績率導入でチームが活性化してパフォーマンスが向上しているでしょうか?

世界の時価総額上位100社に占める日本企業の数を見てみましょう。

1989年53社、1997年13社、2010年5社、2019年2社で激減しています。

直近の2019年はトヨタが46位で国内最高位でしたが、この指標ではアジアベスト10にも入っていません。ちなみに1989年トヨタは世界11位でした。

ここ30年日本企業のイノベーションが途絶えてしまっていることをデータは示しています。

この原因のすべてを成績率に求めようとは思いませんが、一因となっていることは確かです。チームで働く職場で個人を評価する制度は、客観的基準がなく非常に困難です。

チームは多様性があるから力を発揮します。たとえ客観的基準が導入されても、一つの物差しを当て評価する制度は、必ず不公平感が生まれます。

不公平感が高まればチームのパフォーマンスは低下します。また短期に成果を出そうとすればイノベーションは生じないでしょう。

よって民間企業の多くが導入しているからとボーナスに成績率を入れるのは、根拠のない話です。

アンケートに回答した組合員の多77%が成績率導入はモチベーションを向上しないと回答しました。これが組合員の実感であり、多くの研究結果もこの実感を支持しています。

多くの職員が望まない制度の導入は大量退職へとつながり、現場を荒廃させるだけです。

(参考・引用文献:ユウ・ヘイキョウ著 日本再生のためのプランB 医療経済学による所得倍増計画 集英社新書 2021年)

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