人員不足の実態解明と解決に向けて団体交渉へ
人員不足が深刻です。人員が充足している職場は果たしてあるのだろうか?というような状況です。そこで都立病院労組では、各病院に対し人員不足の実態解明と対応策を求めて団体交渉申し入れを一斉に行いました。
独法化により医師や看護師の採用権限が病院に付与され「機動的にスタッフの確保が可能」になったはずなのですが。独法化から3年、人員不足は深刻になるばかりです。
人員不足は、私たちの労働条件を悪化させ健康へも悪影響を与えます。長時間労働が当たり前になり、夜勤や当直の回数が増え疲労が蓄積するにも関わらず、年次有給休暇の取得がままならなくなります。年次有給休暇の取得は、労働者の当然の権利であるにも関わらず、年度末に数日をなんとか取得して、ようやく5 日間をクリアする職場もあります。これでは、リフレッシュするという年次有給休暇の目的は果たせません。
人員不足は、労働者の健康だけでなく、患者の健康へも悪影響を与えます。例えば常勤薬剤師数は、入院日数や院内死亡率と負の相関があることがわかっています。つまり常勤薬剤師数の少ない病院は患者死亡率が高くなる傾向があるのです。1)
看護師の場合も同様で、看護師1 人当たりの受け持ち患者数が減少すると,患者死亡率の低下が見られ,また 看護師の職務不満足・バーンアウト率の低下や医療費削減の可能性が推定されることが海外の研究で明らかになっています。2)
人員不足を解決できない管理者は、労働者と患者の命を危険にさらしているのです。
1)厚生労働科学研究 医療需要や医師の働き方等の変化を踏まえた病院薬剤師の需要把握のための研究
2)高瀬美由紀等 患者対看護師比が医療にもたらす影響: 国外文献の検討から 日本職業・災害医学会会誌 JJOMTVol.65,No.2
医療費の自己負担の上限を制限し、経済的負担を軽減する高額療養費制度。厚生労働省は15 日の専門委員会で、2026 年夏以降に月ごとの上限額を全体的に引き上げる方針を示しました。がん治療などでは高額な薬剤を使用するので、高額療養費の上限引き上げは深刻な影響を与えかねません。診療報酬の引上げが確実ななか、高額療養費の上限額が引き上げられれば患者の中には、治療をあきらめる人が出かねません。引上げは見送るべきです。
251216_4_8
この記事へのコメントはありません。