1分ニュース 31年ぶりに改訂される看護師確保法改定案を読む 4.
今回も第3回に続けて「④研修などによる看護師等の資質の向上」の後半部分を検討します。
④自体は全体で8Pあるのですが、そのうち3P分が特定行為に関する内容です。
注意しなくてはいけないのは、特定行為はあくまでも医師の業務を下請け的に代行することであって、看護師の資質の向上とは何ら関係がないという一番肝心なことについて触れていないことです。
資料では22年3月に4832人だった研修修了者が1年間で6875人、2043人も増えたことが明記されています。
しかしこの増員が患者の入院期間やQOLにどのような影響を与えたのか、看護師のやりがいを向上させたのか等の検討はされていません。
第8次医療計画に関連して「現状を客観的に把握」し、「就業状況における課題を描出すること」とされているだけです。
厚労省は医師を増やさないためのタスク・シフティングとして、看護協会は医師の業務の一部を自ら引き受けることが看護師の社会的地位を向上させることになると、それぞれの思惑から特定行為研修を進めようとしています。
看護師等の資質の向上に一番有効なのは、そして最も早急に取り組まなければいけないのは准看護師の養成を停止すること。
そして、准看護師に対する研修を国の責任で行い看護師の資格を取得できるようにすることです。
基礎学歴が中卒で良いとする准看護師制度が残る限り、専門看護師、認定看護師が増えても、看護は医師の下働きみたいなもので誰でもできる仕事という評価がついて回るでしょう。
准が付いた2級の資格が設定された資格職はありません。
例えば准医師や准弁護士といった制度はありません。
看護にだけ准看護師制度がつくられたのは、看護の専門性が評価されず、医師の下働きとしての労働力だけが求められたからです。
そして今また、医師の下働きとしての特定行為研修を進めることは、看護師等の資質の向上には一切つながらないでしょう。(つづく)
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